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結婚と同時にマイホームを購入した。
郊外に佇む古くて広い屋敷。格安の物件だった。
はじめは廃屋と見間違うほどだったが、改装したら随分と綺麗になった。
僕の収入には似つかわしくないほどの豪邸だ。
愛する妻と、いずれ増えるであろう新しい家族のための城。
それは夜、寝室でベッドに横たわっているときのことだった。
妻ほどではないが、僕は寝つきのいいほうだ。
いつもならば、すぐに眠りに入る。
けれど、その日は食後にお茶を飲みすぎたせいか目が冴えて、
なかなか眠れずにベッドの中で無駄な時間を過ごしていた。
そのときだった。僕は暗闇に浮かぶ白いもやを見た。
それは子供ほどの大きさの雲のような塊で、ふわふわと宙に浮かんでいた。
僕は驚いて、咄嗟に枕元の明かりをつけた。
その途端に白いもやは霧散した。
隣で寝ていた妻が目を覚まし、目を擦りながら「どうしたの?」と僕に聞いた。
幽霊みたいなものを見たんだと説明したが、
妻は「夢でも見たのよ」と笑って答えた。
それにしては、やけにハッキリ見えたような気もする。
僕はなんだか腑に落ちない気持ちを抱きながら眠りに就いた。
それから何日か経った夜のこと。
僕は何かの物音を聞いて目を覚ました。それは足音だった。
一瞬、妻がトイレに立ったのかと思ったが、すぐに違うと分かった。
大勢の人間が歩いている。部屋を横切るように。
おかしい。そんなことはありえない。
僕は飛び起きて明かりをつけた。その途端、足音は止まった。
部屋の中を見回しても人影はない。
目を覚ました妻に事情を説明すると、妻は「気のせいよ」と眠そうに答えた。
さらに何日か経った夜のこと。
僕は身体を揺さぶられる感じで目を覚ました。
妻が僕を起こそうとしているのか。いや、違う。地震だ。
部屋全体を揺さぶる激しい地震。僕は、地震だと叫んだ。
途端に地震は収まった。のんびりと妻が目を覚ました。
地震があったのだと説明し、情報を得ようとテレビをつけた。
ところが、そんな情報は流れていなかった。
まさか、この屋敷だけの局地的地震だったとでもいうのか。
妻は「あなた、疲れてるのよ」と心配そうに僕を見つめた。
その後も、たびたび奇妙な現象は起こった。
あるときは、青白く輝く魚の群れのようなものが暗闇の中を飛び回っていた。
またあるときは、どこからともなく太鼓のような音色が聞こえてきた。
この屋敷では心霊現象が起こるのだろうか。
もしかして、この屋敷で過去に凄惨な事件でもあって、
その被害者の魂が今も彷徨っているのではないだろうか。
不動産屋を問い詰めてみたが、そんな話は知らないという。
ネットなどで調べてみても、そんな事実は見つからなかった。
おかしい。おかしい。僕は確かに見た。確かに聞いた。
いったい、なんだったのだ。気になって仕方がない。
しばらく経った夜。
僕は頬に湿った感触を受けて目を覚ました。雨漏りか。
水滴はポツリポツリと量を増やし、瞬く間に土砂降りになった。
寝室の中で土砂降りの雨が降っているのだ。
僕は言葉にならない悲鳴をあげた。途端に、雨は降り止んだ。
慌てて明かりをつけても、濡れているところはひとつもない。
妻は何がなんだか分からないという表情で僕を見ていた。
本当に、夢でも見ていたかのようだった。
こんな気味の悪い屋敷、出て行ってやる。
「わたし、気に入ってたのに」という妻の反対は却下した。
僕たちは屋敷を売り払ってアパートに引っ越した。
これで安心して眠ることが出来る。
引っ越して最初の夜。
仕事を終えて帰宅し、妻の作った手料理を食べ、
テレビでホラー映画を見て、僕たちはベッドに入って明かりを消した。
すぐに、妻の寝息が聞こえてきた。
そして。
2008/05/09
ショートショート
TB(0)
CO(5)
最後の…そして…の続きが非常に気になりました。
読みながら、私だったらこの心霊現象の犯人をこうするのにな〜っと思いながら、色々と想像しながら読ませていただきました。
私も自分のブログで小説を連載しています。
もしもよかったら、読んでいただけると嬉しいです。
http://umituki.blog.ocn.ne.jp/blog/
[2008/05/09 11:45] 海月 [ 編集 ]
続きが気になります!!でもあえて書かないのがまたいいですね(笑)!
[2008/05/10 21:00] りぃな [ 編集 ]
何度も来ていたのですが、はじめてコメントします。
ウチのブログにも何度か来てもらっているようで、ありがとうございます。
「そして。」で切れるのが、ホラー作品に合っているいいラストだと思いますが、「。」で切れてる所為か、せっかく読者に結末を想像させる演出なのに、その後なにかが起こった想像がイマイチできない感じがします。
もう少し、想像の種があれば……、と思うのですが……
[2008/05/11 00:24] 榊原くじら [ 編集 ]
色々想像できる終わり方ですね。
まあ一つ言えるのは全部奥さんが眠ってから起きるまでの間に起きてるって事ですかね。意外に奥さんが原因かもw
[2008/05/11 20:43] カルピス [ 編集 ]
犯人は隣に居る。
[2008/05/27 15:17] ペンギン666 [ 編集 ]
読みながら、私だったらこの心霊現象の犯人をこうするのにな〜っと思いながら、色々と想像しながら読ませていただきました。
私も自分のブログで小説を連載しています。
もしもよかったら、読んでいただけると嬉しいです。
http://umituki.blog.ocn.ne.jp/blog/
[2008/05/09 11:45] 海月 [ 編集 ]
続きが気になります!!でもあえて書かないのがまたいいですね(笑)!
[2008/05/10 21:00] りぃな [ 編集 ]
何度も来ていたのですが、はじめてコメントします。
ウチのブログにも何度か来てもらっているようで、ありがとうございます。
「そして。」で切れるのが、ホラー作品に合っているいいラストだと思いますが、「。」で切れてる所為か、せっかく読者に結末を想像させる演出なのに、その後なにかが起こった想像がイマイチできない感じがします。
もう少し、想像の種があれば……、と思うのですが……
[2008/05/11 00:24] 榊原くじら [ 編集 ]
色々想像できる終わり方ですね。
まあ一つ言えるのは全部奥さんが眠ってから起きるまでの間に起きてるって事ですかね。意外に奥さんが原因かもw
[2008/05/11 20:43] カルピス [ 編集 ]
犯人は隣に居る。
[2008/05/27 15:17] ペンギン666 [ 編集 ]
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読み切り 暗闇にて


