時計が夜の十二時を指し示した。
私は部屋の明かりを消してベッドに横たわる。
明日も仕事がある。八時には起きなきゃいけない。
おやすみ。いつもと変わらない夜。

私は眠りが訪れるのを待つ。私は寝つきがいいほうだ。
普段ならベッドに入って何分も経たないうちに、まどろみに溶けてゆく。
けれど、どうしたことだろう。今夜に限って眠りはなかなか訪れなかった。
どうして眠れないのかしら。別にコーヒーを飲んだわけじゃない。
それなりに疲れているはずなのに、どうにも目が冴えてしまう。

私は眠りに入るときの感覚をイメージしてみた。
身体が溶けていくような感覚。
手足の先端から少しずつ暗闇の中に溶け込む。
駄目だ。イメージすると感覚が鋭敏になってくる。
生々しい感覚が頭の中に入ってくる。
それなら、別のイメージを思い浮かべよう。
浮遊する感覚。水面に上ってゆく泡のように。ゆらゆらゆらゆらと。
駄目だ。横たわっている身体の重みが感じられて、イメージが中断される。
ええい。それなら、落ちていくような感覚をイメージ。
駄目だ。イメージできない。

時計を見ると、二時になっている。
もう二時間もベッドの中で悶々としていたのか。
そうだ。ここは気分転換をしよう。ちょっと音楽でも聴こう。
リラックスするような音楽を聴けば、眠たくなってくるかもしれない。
そう思って音楽を流してみたが、やっぱり眠気がやってこない。
テンポの遅い曲が冗長に聞こえて、倦怠感ばかりが増してゆく。
やめた。私は音楽を止めた。

そうだ。本でも読んでみよう。
難しい本でも読んで少し頭を使えば眠たくなってくるかもしれない。
私は本を手に取った。面白そうなので買ったはいいけど、
内容が難しくて途中で読むのをやめてしまっていた本だ。
ところが、あらためて読んでみると、これがなかなか面白い。
以前読んだときは難しく感じられた内容も、
今読み直してみたらすんなりと頭に入ってきた。
私は夢中になって本を読んだ。

気がついたら四時になっていた。
ああ、どうしよう。ちゃんと寝なきゃ。
本が面白くて、かえって頭が冴えてしまった。
うーん。こうなったら身体を疲れさせてみようか。
ベッドの横でストレッチ運動をしてみる。
いちにいさんしい。ごおろくしちはち。筋肉を伸ばして。
よいしょ。よいしょ。よっこらしょ。

運動したら少し汗をかいてしまった。
シャワーを浴びたい。お風呂に入りたい。
そうだ。お風呂で身体をほぐせば眠くなるかもしれない。
私はバスタブにお湯を張り、身体を沈ませた。
私はお風呂が大好きだ。身体が温まる。
ああ、気持ちいい。何時間でも入っていたい気分。
これならグッスリと眠れるんじゃないかしら。
そうだった。寝ないといけないんだった。

お風呂からあがって時計を確認すると、もう六時。
外は明るくなっているようだ。ああ、なんてこと。
今からじゃ二時間しか寝れない。でも、寝ておきたい。
一睡もしないまま出勤したら、体調を崩してしまうのは間違いない。
お願い。もう眠らせてちょうだい。私はそう祈りながらベッドに横たわった。
しかし、私の祈りも虚しくやっぱり目が冴えて眠れない。
刻々と時間だけが過ぎてゆく。

という夢を見た。
十分に眠ったはずなのに、凄い倦怠感。

人気ブログ 2008/05/25 ショートショート TB(0) CO(4)

ショートショート/ショートショート/ショートショート/ショートショート

私なら、疲労感を感じます。

[2008/05/25 15:50] 神戸の保険マン [ 編集 ]

おもしろいですね♪
私もこんな夢は見たくないです(笑)!

[2008/05/25 18:16] りぃな [ 編集 ]

うわぁ〜(−д−;
重たっ!!
これを読んだだけで疲れが…

[2008/05/25 21:23] 梨月 [ 編集 ]

眠い。

[2008/05/27 15:11] ペンギン666 [ 編集 ]

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